MSI GeForce RTX 3090 GAMING X TRIO 24Gのサーマルパッド交換(バックプレート側のみ)

  • 背景および準備
    • 前回実効電力測定時にメモリ温度が100度を超えていたのでサーマルパッドを交換することにした.
    • 対象はバックプレート側のみ.*1
    • 使用したサーマルパッドは Gelid GP-Extreme の2mm3mm
      • Amazon.co.jpでは2mmの取り扱いがなく、また、別のモチベーション*2もあってUSの方から購入した.
      • Thermallight ODYSSEYの方が日本での入手性は良く、おそらく代替も可能と思われるが、Gelidは物理的により柔らく接触性が良さげという口コミ*3 があり、こちらを選択した.
    • その他、使用した器具
      • カッター、定規、カッティングマット(パッドの切り分け)
      • 無水エタノールキムワイプ(基盤やバックプレートの既存パッド跡などの汚れの除去)
      • ブロワー(各部に付着したホコリの除去)
      • プラスチック製のケーブルタイ(既存パッドの除去)*4

 

  •  結果
    • 温度低下は張り替え前で 100℃ 、張り替え後で 94℃ となり、6℃の低下を確認.
      •  

      • 測定時のminerはGMinerでオプションは--lock_cclock 1095 --mclock 1300 --pl 76

 

  • サーマルパッド張り替え作業
    • サーマルパッド張り替え時の異物混入を防ぐため、まずGPU表面の汚れを除去する.
      • 溜まったホコリや既存サーマルパッド由来のオイルは無水エタノールキムワイプで拭き取る.
      • ファンなど他の部位に溜まっているホコリもブロワーで除去.
    • バックプレートの取り外し.
      • 下図緑矢印で示した11個あるネジを取り外し、バックプレートを若干スライドするようにゆっくり持ち上げると簡単に外れる. 11個のネジは全て同種なので特に場所を記録する必要はない.
      • 回路がむき出しになっている部分にある金具を固定する4個のネジはクーリングファン/ヒートシンクと基盤を固定するものなので今回は触らない. 分解識別用シールが4個のネジの左上のものに貼られているのがわかる.
    • 既存サーマルパッドの除去
      • サーマルパッドは全部バックプレート側にくっついていると思うので、下左図のようにそれをヘラなどで除去する. 既存サーマルパッドはほとんど粘土のような材質であり、剥がした時の残滓が割と多いと思うので無水エタノールキムワイプで入念に拭き取る.
      • 除去を終えると下右図のようになる. 写真では少々わかりにくいが、サーマルパッドの貼付位置を明示するためのケガキ線が視認できると思う. このケガキ線がすべてのサーマルパッドの位置にあるので、自分でそれらの位置を記録しておく必要はない.(もちろん不安ならやってもいいと思うが)
      •  

    • 基盤の汚れの除去
      • 下図の左下にあるようなサーマルパッドから漏れ出したオイルと付着したホコリ、それから、12個あるメモリ素子上のオイルを無水エタノールキムワイプ拭き取る.
      • ただし、メモリ素子周辺には細かくてもろい部品が多く分布しているので、キムワイプの巻きつきなどで誤って脱落または破損させないよう注意. ここではメモリ素子上からの熱伝導性を向上させるのが目的なので、メモリ素子上部だけ入念かつ丁寧に汚れの除去をやっておけばよいと思う.
    • サーマルパッド切り分けと貼り付け
      • ①〜⑧の各部に応じたサーマルパッドをそれぞれの大きさに切り分ける. 緑の表記は厚さ3mmの、赤は厚さ2mmのサーマルパッドをしめしている.
      • 各部の大きさを厚さごとに次に示す. なお、表記は縦[mm]x横[mm]となっている
        • 3mm:① 10x10、② 10x11、③ 14x38、④ 15x15、⑤ 50x6、⑥ 50x6
        • 2mm:⑦ 50x9、⑧ 50x9
      • サーマルパッドの貼り付けは各所にあるケガキ線にそって行えばよいが、銅製ヒートプレートをまたぐ箇所(⑤⑥⑦⑧)は2種の分かれたパッドを隣り合わせでぴったりとくっつけないといけないので少し注意.
    • バックプレートの取り付け
      • サーマルパッドを貼り付けたバックプレートを基盤に取り付ける.
      • なお、バックプレートを基盤にかぶせる際には、なるべく基盤のネジ穴が合うように調整した上で接触させるのがよいと思う. 接触させた上でネジ穴を合わせようとすると、サーマルパッドをぐりぐりとこすり合わせるような操作になってしまい、位置ずれや破損を生じるおそれがある.

*1:クーリングファン/ヒートシンク側は分解識別用のシールがされているネジを外さないとできず、まだ保証期間中なので実施しないことにした. ただ、今回の結果からも実施したほうがよいことは確かなので、あと1年くらいしたらトライしたい. miner海外勢を見ていても2年に1回くらいの頻度でサーマルグリスを塗り替えるメンテナンスをしているようだ.

*2:昨年、海外からPCパーツを取り寄せようと計画したときに、通販利用時の為替等手数料を最小化するため、あらかじめ外貨預金を確保し、その口座で使えるデビットカードを作ったのだが、結局その計画はお流れになり、今回思い出してその決済系が利用できるか、実費としてどのくらいになるかを実測してみたかった

*3:vash01 comments on RTX 3090 MSI GAMING TRIO - changing thermalpads + backplate heatsink with fan

*4:CPU放熱グリスに付属しているプラスチック製ヘラなどの金属を傷つけないものであればなんでも良いと思う. 今回は手元にそういったものがなかったので苦肉の策で使った.

MSI GeForce RTX 3090 GAMING X TRIO 24Gのマイニングにおける消費電力

  • 今回はこれを測定jp.msi.com
  • 結果
    • ソフトウェア表示:280w
      • f:id:vlUd3droFz_u67sgXZ21wy5fgP:20220326185031p:plain

      • ハッシュレートはEthereumのもの. GMinerを使用しており、オプションは次の通り.
        • --lock_cclock 1095 --mclock 1300 --pl 76
    • 実際の消費電力:305w(前後)
      • f:id:vlUd3droFz_u67sgXZ21wy5fgP:20220326185633p:plain f:id:vlUd3droFz_u67sgXZ21wy5fgP:20220326185713p:plain

      • PCIE1:ライザーカード、PCIE2:補助電源
      • この写真では合計で315wになるが、測定中にそこそこ変動しており、概ね305±10w 程度になっている模様.
  • メモリ温度が高くサーマルスロットリングを起こしているようなので、次回はサーマルパッド張り替えを試す.

AMD Radeon RX 6600 XTのマイニングにおける消費電力

  • 今回はこれを測定

    www.asrock.com

  •  結果
    • ソフトウェア表示:51w(下図GPU0参照)
      • f:id:vlUd3droFz_u67sgXZ21wy5fgP:20220322164827p:plain

      • ハッシュレートはEthereumのもの.
    • 実際の消費電力:67w
      • f:id:vlUd3droFz_u67sgXZ21wy5fgP:20220322163443p:plain f:id:vlUd3droFz_u67sgXZ21wy5fgP:20220322163459p:plain

      • PCIE1:補助電源、PCIE2:ライザーカード
    • HiveOS上の表示および実測値ともに 2~3w 程度は上下に変動する.
  •  測定器具について
    • ElmorLabs PMD で実際の消費電力を測定

      elmorlabs.com

    • PMDはPCIEスロット(ライザーカード)と補助電源の2系統に分けて測定できる.